脳性麻痺オシャンティー男子との暮らしで思うコト/怖かってん

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

高校3年生になってから、なにかが違う。

 

 

思い返せばそれはきっとこの日から始まった、のかもしれない

 

 

・・・

 

新学期早々のある日の放課後。

他のクラスの車椅子ユーザーでもあるK君に、彼は呼び止められた。

 

「今日今から、バリアフリー展あるんだけど、一緒に行かない?

○○君も行くよ。」

 

○○君というのは、去年同じクラスだった子で、今時珍しく世話焼きの眼鏡くんだ。

今年はクラスをはなれ、K君と同じクラスになったようだ。

 

 

ー…やめとく

 

 

と、彼。

 

 

だろうな、と私は心の中でつぶやいた。

 

「そう?また行こうね」とKくんは去っていった。

 

 

この日は久しぶりの6時間授業で、彼は疲れ果てていた。

バリアフリー展も過去何度か行ったこともあるが、いつも「つまらない」と言っていた。

 

 

だからおおよそ「いかない」というだろうとは分かっていたし、それで良いと思っていた。

 

 

しかし、なんだK君、かっこいいじゃないか。

 

私達親子の間にわずかな沈黙と、微妙な空気が流れる。

 

「なにあれ、K君。自分から誘えるってさ、かっこいいなあ。」

 

ーはい

 

「自分が○○くんと行きたいって思ったら誘うってさ、なんかシンプル。スマートだよね。」

 

ーはい

 

「考えたらさ、遠慮せずにさ、相手の都合考えないでさ、もう最後じゃない?どんどん誘ってみてもいいんじゃない?」

 

ーはい

 


そして翌週、思い切ってクラスメイトを野球観戦に誘ってみた。

 

ヘルパーさんと、おじいちゃんと行く予定をしていた彼が大ファンの阪神戦甲子園デイゲーム。

おじいちゃんに「友達を誘いたい」と伝えると、快くOKしてくれたのだ。

 

 

結果クラスメイトは…

「ほんまですか?もちろん行きます!」

 

笑顔で返事が返ってきた。

 

 

・・・

 

怖かったのだ。

 

誘っても断られるんじゃないか、いやな顔をされるんじゃないか。

 

私たちはきっと傷つかないために、行動しなかっただけだということに気が付いた。

 

 

思い込みのグルグル巻き


当日は快晴。

 

試合は広島戦、阪神が勝った。

 

夜、クラスメイトから私のLINEにメッセージが届いた。

 

「今日はとても楽しかったです。お誘いありがとうございました。また誘ってください。」

 

彼と一緒に3回メッセージを読んだ。

熱狂的阪神ファンのヘルパーさんと


そして来月6月。

今度はクラスメイトと、もう一人の元クラスメイトを誘ってカラオケに行く約束を取り付けた。

 

「亮夏のお母さんもぜひご一緒に!」

 

友達だけで行ってくれたら…とも思ったのだが、確かにいきなり子どもだけでとなれば

友人にとってもハードルが高いか。

 

と思い直し、私も同席することになった。

 

「得意な曲は?」

彼らに尋ねてみた。

 

一人は

『アニソンっす!』

一人は

『ヘビーメタルっす!』

 

彼は

『えいっこうーのかけはしっ!』→それ曲名な

 

なにやらカラフルな予感しかしない。

 

せっかくなので私も全力で、濃~い色を添えてみようとするか。

 

 

・・・

 

この後、友人とのコミュニケーションにおいて学校にnewアイテムを持ち込んだのだが…

 

 

それはまた次回のお話。