
■見てる。聞いてる。感じてる。
先日2日、大阪西成区発達支援センター『クリエバ』さまへ、3月定期ワークをお届けにあがりました。
3月は各施設さま更新月ということもあり、この半年間(クリエバ様は昨年7月よりワークスタート)を
現場スタッフの皆さんと振り返り、お子様一人一人の変化や成長について、ゆっくりとお話させていただきました。
一番の話題に上がったのは、半年前とは異なる子どもたち一人一人の大きな成長です。
ワークを通し、その取り組みと子どもたちの成長に現場のスタッフさんからも
『毎月の成長に驚くことばかり!』
お伺いするたび、そんな嬉しいお言葉を頂いていましたが、
この半年を振り返ると、私自身も笑顔で話さずにはいられない程の子どもたちの成長ぶりでした。
今回は子どもたちのこの半年間の成長において、切っても切れない
集団療育(グループ療育)で育める力の一つ『代理学習』の効果についてお話したいと思います。
■『代理学習』がチャレンジ意欲を育む

■『代理学習』とは?
・他人の行動や行いを見て学ぶこと。
言葉でいうととてもシンプルですが、この『代理学習』こそ発達に障害を持つ子どもたちの成長にとって
無くてはならない大切なキーの一つです。
同じ特性や障害、能力や状況の子ども同士が、自分ではないそれぞれの子どもたちの行動を観察することで
意欲的になったり、安心してチャレンジできる、人と関わりを持てるようになる等、『代理学習』を行うことで大きく期待できます。
今からご紹介させていただくプログラムは、今月3月のクリエバ様体感ワークです。
触覚情報から感覚統合を促す季節の食材を使った五感体験ワークの一つなのですが
ここでも子どもたちは無意識に、しかし確実に『代理学習』を行っていましたよ(^^)
【3月クリエバ様ワーク内/体感ワーク編】
⑴人数分の食材を用意する。
⑵子どもたちと目で見て食材を確認する。
⑶そこから講師が一つ選び、子どもたちから見えないように箱の中に隠します。
⑷箱の左右に空いている部分から手を入れ、先ほどの記憶と手指で感じる感触でなんの食材かを当てさせます。
【狙い】
・様々な感覚に親しむ
・手指の高次元化
・集中力
・ルールを守る
・気持ちの切り替え
・ボディーイメージの発達


ワークには必ず課題が存在しますね。
【課題】
・順番決め。
・順番を守る。
・箱の中から食材を出さずに答える。
・一度手にした食材を友達と取り合わない。
・手にした食材を講師に返却する。
●目では見えないものを、手指の感覚だけで触れる。
●早く目で確認したい衝動をコントロールする。
●『自分の物だ』というこだわり、執着する気持ちを切り替える。
発達に偏りを持つお子様にとっては、苦手とする取り組みでもある今月の体感ワーク。
だからこそ個別ではなく、それぞれほかの子どもたちが取り組む様子を間近で見ることができて学べる
『代理学習』を経験出来る集団療育は、苦手意識を持つ子どもたちにとって、とても有効な活動の場となります。

実際に、初めは躊躇していたお子様も、
子ども達同士お互いの様子を見て安心したり、興味を持ったり。
そして実際に、
『順番が守れた!』
『箱の中に手を入れる事ができた!』
『先生に返せた!』
そんな子どもたち同志、『代理学習』を行い合い、成功体験をそれぞれが積み重ねる。
これは集団療育の力の一つです。
しかし、以前は医療機関等でも比較的よく行われていたグループ療育は
法改正などに伴い、必要性はあるとわかっていても取り組む事が難しくなり、個別療育に限定された現状があります。
しかし今回取り上げた
・『代理学習』の経験や、
・集団内での役割を担う経験
・集団内で活躍する自身の『有能感』
・複数の人との『コミュニケーション』等
地域の幼稚園や小学校ではなく、同じ特性や障害・能力や状況の子ども達の中、
子どもたち自身も『安心して自分を出せる場』で行うことができるグループ療育は
今、身体的・精神的発達に偏りがある子どもたちにとって生きやすさを手に入れるために
とても重要な学びの場なのです。

子どもたちの力を引き出すのは、大人の知識やノウハウだけではありません。
子ども同士がお互いを『見て、聞いて、感じる』事で成長していく、
子どもたち自身が持つ能力を引き続き安心して発揮してもらえるような、
そんな場所や時間をご縁のある施設の皆様とこれからも一つ一つ創り上げてゆきたいと思います。