脳性麻痺オシャンティー男子との暮らしで思うこと/『等身大』

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

 

今朝はえらくご機嫌ななめだ。

 

原因はおしっこ。

 

彼は筋緊張の具合で、排尿が比較的困難だ。

私たちのように今、という時にすっと出ない。

 

『出さなきゃ、出さなきゃ』

となるともっと出ない。

 

トイレで籠ることも珍しくなく、夏場クーラーの効いていない駅や公園のトイレはまさに地獄絵図。

 

暑い!⇒出さなきゃ!⇒出ない!⇒焦る⇒もっと出ない!⇒本人、介助者共に汗だく20分コース決定。

 

かといって、おしめは頑なに拒否。

何が何でもパンツ主義なのが厄介だ。

 

 

 

そんな排尿に一癖持つ彼なのだが、今朝排尿に失敗。

漏らした。

原因はおそらく我慢のし過ぎ。

 

本人なりに、すっと出したいものだから、どうしてもギリギリまで我慢する傾向にある。

今朝はギリギリの壁を、ちょろっと突破してしまった、らしい。

 

朝のバタバタの後、唯一落ち着いて話せる、高校までの送迎の車の中。

 

私から切り出した。

 

「まあさ、上手くいく時ばかりじゃないよね。

ママだって昨日車ポールにぶつけて、ドアんとこがっつりへこんだんだよー。

チーン。」

 

へー

 

「でもさ、その時ほかの事に気を取られてたんだよね。

きっとあれよ、昨日ぶつけてなかったら誰か人とぶつかってたかもしれないね。

 

ボーっとすんなよ、

気を付けろってことだと思うようにした。」

 

ふーん

 

 

「何事も考え方次第だよね。

ま、ママは単純にへこんだり、落ち込んだりするのが嫌なだけだけど(笑)

 

今朝の君の場合さ、何?何が嫌なわけ?

 

失敗したことが嫌なの?

ズボンが濡れたことが嫌なの?

 

それとも両方?」

 

りょーほー、

 

 

「へー。まじめやな」

 

・・・・・

 

「まずズボンが濡れたからいやって、濡れたら着替えたらええやん。

 

それだけやん。悩まんでええやん。

着替えあるんやから。」

 

・・・はい。

 

「ほんで失敗すんの嫌?

 

あのさ、君の体はママやその辺にいてる人とは違うわけ。

ふつう漏らせへんとか、そんなん考えたらあかんで。

 

おしっこするのも、思ったように出ない時もある。

でしょ?

 

 

みんなそこまで苦労してないのよ。

だから漏らしたりしないだけ。

 

君はスムーズにいかないでしょ?

 

だから漏らしてしまう時もあるの。

あっていいの。

 

 

 

それよりさ、上手くでけへーん。

こんなんいやや~ゆーて、心悩ませている時間のほうがもったいないと思うのよ。

 

真面目はいかんよー。

真面目はもてへんでー。

 

 

濡れていいやん。

 

むしろ濡れるのが普通や。

濡れんかった時がラッキーや。

 

ほんで

汚れたら着替えたらいい。

それだけの事よ。

 

『ありゃ、濡れちゃた♪てへ。』

 

でいいんじゃないの?

 

(にやり)…はい。

 

 

 

 

理想はある。誰にだって。

だけど、今の自分を知ることのほうがもっと大事だと思う。

 

理想の自分を常に追いかけるのはしんどい。

それよりも今の自分を認め、向き合うことで本当の、等身大の自分らしさが見えてくる。

 

スタートは、きっとそこからだ。

 

行け!君!

 

本当の『君らしさ』を見つけるんだ。