脳性麻痺オシャンティ男子とのくらしで思うこと:column

イキプロIN佐賀県多機能型事業所研修

我が家の18歳オシャンティー男子が昨年高校在学中、

ふとした視点の切り替えから生まれたビジネス、生きる教科書プロジェクト=イキプロ。

 

脳性麻痺の自分を生きる教科書として

『医療・介護福祉系大学、専門学校』及び『障害児者支援施設、支援事業者』に向けた実地研修だ。

 

そのイキプロ。

この4月29日、佐賀県多機能型事業所『ミルキーウェイ』様からお声がけ頂きついに大阪を飛び出すため、新幹線に飛び乗り、鳥栖市に向かった。

 

 

 

 

 



佐賀県鳥栖市多機能型事業所『ミルキーウェイ』

 

静かな住宅街の中、広い敷地が広がる。

 

古民家を改装されたというミルキーウェイ様。

 

自動スロープを上がると、

中は驚く程広く、昔ながらの作りに大人も子どもも自然に心が落ち着く。

 

思わず、つい寝転んでしまいたくなるほど、ほっとする空間だった。

 

目に見えない温かさに、オシャンティー男子の緊張もほぐれていく。

 

 

 

 

 


■テーマ/姿勢と運動-児童デイサービスで考えるー

今回ご参加くださったミルキーウェイスタッフさんは

理学療法士3名、言語聴覚士1名、看護師2名、保育士3名、指導員1名、計10名の皆様。

 

『イキプロ』メンバーは

実地研修担当講師、畠山亮夏。

前回、前々回とパートナーを組んでくれている小児専門セラピストの理学療法士平垣さん。

そして看護師でもあり、大阪豊中市児童デイサービスPrimo管理者の西田さん。

サポーターとして療育者兼保護者の私、畠山の4名。

 

研修時間は途中休憩も挟み13時30分~17時00分の3時間30分。

 

●研修スケジュール

⑴支援計画を立てよう!

グループ分けしたスタッフの皆様で、モデル講師の支援計画を立てる

 

⑵セラピストによる座学

支援計画後、小児専門セラピストから筋緊張と姿勢保持について基礎的な座学を行う

 

⑶触れてみよう!

座学をもとに、モデル講師の身体に直接しっかりと触れながら、受講者ご自身の手で緊張の状態からコントロール、保持へと体の変化を合わせて体感

 

⑷支援計画を見直す

座学と実際に体感した感覚を基に、初めに立てた支援計画を見直す

 

⑸発表

チームごとにそれぞれが立てた支援計画を発表

セラピスト、モデル講師、看護師兼管理による返り

 

⑹座位とアクティビティ

実際に座位が落ち着いた状態から、利用者主体(モデル講師)の遊びや取り組みを考え、実践

 

⑺まとめ

 

 

 

 

 

 



■感想


■今回の研修はいかがでしたか?

・すごく勉強になった×10名

・まあまあ勉強になった×0名

・今一つだった×0名

・全然だった×0名

 

■今回の研修であなたが最も学びになったのもを教えてください。

・本人の訴えや思いを取り入れて支援してゆくこと。スタッフの想いや、「こうだろうな」と推測だけではいけないんだと感じた。(PT)

・亮夏さんの思い、保護者の思い両方を実際に伺えたこと。具体的なエピソードが聞けたこと。(PT)

・本人に添った支援。本人、ご家族の気持ちを汲み取る支援をすること。(PT)

・ご本人、ご家族の生の声が聞けたことがとても貴重な経験だった。支援者側が思う「~したいだろう」「~こうだろう」という考えが間違っている事もあるんだと、ハッとさせられた。(ST)

・利用者の方のお気持ち、言いたい事、したい事をしっかりと汲み取ったうえで支援計画を立てなければならない。本人だけではなく、ご家族の意向も聞き、お互いにとってより良い支援を目指すこと。(看護師)

・なかなか当事者本人に自分の気持ちを聞くことが出来ず、支援者の「~だろうな」で推測して支援していくことが多かったように思う。亮夏さんに直接想いを聞いて、短時間の中でも支援して楽しむ姿が見られたのが良かった。(看護師)

・一番は子ども自身の意思や考えを尊重し、子どもが自ら選択、決定する関わりや活動が大切なのだとわかりました。(学生)

・アテトーゼ型筋緊張の方とのコミュニケーション、想い。全ての事に感動した。(保育士)

・本人に気持ちを聞いて支援する事。私たちはお話しできないお子様を支援することが多く、つい先回りしたり、過保護になったりしてしまいがち。とても大切なことを教えてもらえた。(保育士)

・職場の中でのスタッフとの関係や連携も、一人一人の利用者を知ってケア、サービスするだけではなく、学び合うことも必要だと感じた。(保育士)

 

■今回の研修は今後の皆様の業務にどの様にご活用いただけると思いますか?

・スタッフ同士で話し合う時に、共通認識をもって話し合うことが出来る。(PT)

・これまで以上にご本人、ご家族のお気持ちを取り入れ、笑顔が沢山みられる支援をしてゆく。(PT)

・本人のしたいこと、したくない事をご本人に決定してもらうということを前提に関わってゆきたい。(ST)

・利用者の言葉に耳を傾け、一人一人の疾患を理解し、楽しく過ごせるデイにしたい。(看護師)

・言葉で話せなくても、表情やしぐさでご本人の意思や思いをより詳しく汲み取り、支援につなげたい。(看護師)

・療育を考える際、「この子はこうだろう」と決めつけや先回りせず、子どもとコミュニケーションをとりながら支援を考えてゆきたい。(学生)

・職場スタッフの連携。(保育士)

・その子の年齢に応じた対応を、その子の思いに沿って聞いてゆく。(保育士)

・必ず本人に聞いて反応をみる。(保育士)

 

■今までに受けられた研修と「生きる教科書プロジェクト」研修との大きな違いは何だと思いますか?

・当事者の声を実際に聞けること。(PT)

・本人の気持ちを聞きながら研修を受けられたこと。(PT)

・テクニックや座学のみならず、本人の意見、意思を感じ、聞き、見る事が出来た事。(PT)

・ご本人の身体、心に触れられる研修はほかに経験が無い。全く違う研修だ。(ST)

・スライドや卓上だけでなく、亮夏さんご本人の言葉に耳を片むけ、一緒に笑い、亮夏さんの身体で学ばせてもらえたこと。(看護師)

・今までは家族や支援者が主の研修だったが、当事者が主の研修でとても分かりやすく、学びになったところ。(看護師)

・座学だけではない研修はとても勉強になった。(学生)

・実際に来ていただいて、本人の訴えや様子を感じられたこと。(保育士)

・当事者が教えてくれたことに感動を覚えた。(保育士)

・ご本人、ご家族だけでなく、関係機関からの視点を学べたこと。(保育士)

 

■障がいのある方がモデル講師になってくださることに素直に感じた事を教えてください。

・現在利用されているお子様が、充実してデイサービスを利用しているのか、考えさせられた。(PT)

・側弯や変形だけを問題視しないようにしたい。個人としての関わりを大事にしたい。(PT)

・最初はコミュニケーションがとれるか不安があったが、研修を通じて少しずつ話していることが理解できるようになってきて楽しかった。(PT)

・とても緊張する研修だったが、肌に触れさせて頂いたり、専門職セラピストのお話を聞きながら、とても勉強になりました。(ST)

・本当に「生きる教科書」となって、実際に触れさせていただき、言葉を交わせたことが感動した。自分たちが見えていなかった事を学ばせていただいた。(看護師)

・聴きたかったことを聞ける機会で、凄く良かった。話してくれることに感謝したい。(看護師)

・ご本人の口から思っていること、感じていることを直接聞ける事は、普段大人ばかりで話していて凝り固まった考えを改めるいい機会だった。(学生)

・日常の忙しさに流されて、大切なことを忘れてしまう事もあったが、今日の研修はとても勉強になった。(保育士)

・実技として、自分が立てた支援計画によってどのようにご本人が感じ、スタッフと連携して動いていくのか、戸惑いながらも知りえた事は大きかった。(保育士)

・感動し、言葉一つ一つに重み、責任を感じた。(保育士)

 


様々な立場や職種が入り混じる支援事業所。

だからこそ、より良い他職種連携を図ることが出来れば、さらに充実した支援を行うことが出来るのではないか。

 

最後にモデル講師(オシャンティー男子)がミルキーウェイの皆さんに伝えた言葉がある。

 

「子ども扱いしないでください。」

「子どもに選ばせてあげてください。」

 

全身から絞り出し、紡いだその言葉とともに、彼の目から涙がこぼれ落ちた。

それは、「伝わった」という、喜びの涙。

 

伝わらなかった。

 

今までは。

 

誰も、自分の言葉に耳を傾けようとはしなかった。

だから、伝える事を諦めていた。

 

でも、ちがった。

 

みんなが自分の言葉に耳を傾けてくれる。

 

「もっと伝えたい」と思った。

 

そしたら言葉がでてきた。

 

仕事を通じて、伝わる嬉しさを始めて知った。

 

・・・・・・・

もうある程度まで来たと思っていた。

成長しきったと思っていた。

 

でも違った。

 

イキプロをつうじて、彼は成長している。

心が、意思が、成長している。

 

環境次第で、人はいくつになっても成長できるのだ。

 

私もまた、忘れかけていた大切なことを気付かせてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミルキーウェイの皆さん、今回はイキプロ研修へのご依頼有難うございました!

 

☆お知らせ

生きる教科書プロジェクト「イキプロ」では、研修のご依頼を募集しています!!

 

対象者

・医療、介護系大学又は専門学校

・障がい児支援施設又は事業者

 

「介護、支援」は人と人。

 

支援する人、される人。障害者、健常者。

そんな垣根を越えて

 

仕事として携わるみんなが「介護、医療の仕事楽しい!」

 

そう思ってもらえる社会になったらいいな!!

 

これが彼の想いです。

 

そんな脳性麻痺の僕だから彼できるビジネス「イキプロ」を応援してくださる方を募集しています!

今年度は皆さんにこの活動を知っていただく事が目標です。

 

「うちの学校どうかな?」

「紹介したい人がいるよ!」

 

などございましたら、是非おつなぎくださいませんか?

 

ご質問、詳細も何なりとお問い合わせください(^^)

どうぞよろしくお願い致します!

 


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僕だから出来ること

我が家の18歳オシャンティー男子

高校在学中から始めた事業がこの度有難い事に朝日新聞さん夕刊記事に掲載頂いた。

 

その名も『生きる教科書』プロジェクト

 

高校卒業後の進路について思い悩む中、

障がいある自分にしかできない仕事がしたい。

 

そう話す彼と、親子で何度も頭と頭をくっつけるように話し込んできた。

 

そしていきなり閃いた。

 

学びに行くのではなく

学びを届けるのだ、と。

 

 

 

 



介護福祉士を目指す学生の皆様と、介護支援計画を立てる授業に参加。(大阪健康福祉短期大学様)

 

学生の皆様にとって、初めての障がい者とのコミュニケーション。

 

お互いに緊張して、どぎまぎして

正直彼とのやりとりは

『この人、何を言っているのかよくわからない』顔の学生さん。

 

 

 

でも気付けば、言葉を超えた『感じる』『気付く』コミュニケーションが生まれ、

 

支援する人・される人

 

垣根を超え、友達になっていました。

 

 

 

 

OT、PT、ST、看護師、保育士。

 

現役で活躍される医療、介護従事者の皆さんへは、

 

パートナーの理学療法士平垣さんと多職種研修をスタート。

 

実際にそれぞれの手で筋緊張、そして活動と変化を感じて頂きながら、実践に生かしていただける研修をはじめた。

 

大好評だった。

 

 

「次は施設スタッフも連れてきたい。」

「友人にも声をかけたい。」

「次回も必ず参加したい。」

 

 

次を望む声が多く寄せられた。

 

しかし課題は残った。

 

はい。いいえ。違う。上。下。

 

発語障がいを持ちながら、どの様に『自分の言葉』で

生きるアドバイスを伝えるのか。

 

『自分の言葉』とは何か。

『自分の言葉』とは何か。

 

言葉とは『言葉』なのか。

言葉とは『言葉』しかないのか。

 

「自分だから出来る事」について、本気で向き合いだした18歳。

 

4月29日。

佐賀県の多機能型事業所さまから、スタッフ研修のご依頼を頂いている。

 

成功させたい。

 

と、彼は言う。

 

今までの経験、学びを活かせるか。

 

「自分だから出来る事」

彼の旅は、今始まったばかり。

 

親として、一人の人間として、彼の成長を見守りたい。

 

君の夢を、ずっと応援している。

 

 

 

 


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#リョータビ放送日決定


昨年11月、脳性麻痺の長男が高校卒業記念にと

『車椅子ヒッチハイク!介助者なしで京都まで一人旅したいねん!(通称#リョータビ)』を決行。

言葉を自由に操れない彼のメッセージは胸元にぶら下げた紙だけ。

 

そうして出会った人の手だけを伝って京都まで一人旅に出かけた当日の様子を、ご縁から同行してくださったTV局さんより放送日決定のお知らせを頂きましたのでご案内させていただきます(^^)

 

 

日時:1月8日月曜日

TV局:朝日放送ABCテレビ

番組名:ニュースキャスト

放送時間:17:20頃予定

 

 

私も当日は同行していませんでしたので、親としてもどんな様子だったのか楽しみです!

 

宜しければ是非ご覧いただけると嬉しいです!

 

※当日の様子をまとめたブログ『子どもを信じるってどうゆう事?』はこちらです

 


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子どもを信じるってどういう事?

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子18歳。

来年の卒業を控え、人生きっての勝負に出た。

 

 

大阪から京都まで、介助者なしの一人旅に出かけたのだ。

 

話す事もままならない。

車椅子の自操なんてとんでもない。

 

そんな彼が京都までどうやって一人で行って、帰ってくるのか。

 

答えはこう。

「行き先を紙に書いて、読んだ人に連れて行ってもらう!」

 

 


しかし、さすがに本当の一人きりだと安全面で心配が残る。

そこで、前回私の講演会でお会いした素敵な大学生、水口さんに相談。

 

「こんな企画うちの息子がやろうとしてるんですけど、遠くから見守りと、ちょっとビデオ撮影とか企画を面白がってくれる方でお願い出来る学生さん、いらっしゃいませんかね?」

 

すると

「あ、それ僕やって良いですか?」という神的一言を頂き、決定。

 

10月某日、初めての彼と水口さん。

そして企画応援隊長の川口さんと大阪梅田で挨拶&打合せ。

 

夜の夜景と、オシャンティーな大人空間での打ち合わせに彼は終始感動の様子だ。


その後、ひょんなことからとあるTV局さんから撮影同行も入っていただける事になり。

「この子、ほんともってるわ」なんてしみじみ。。

旅の下準備も余念なく。

 

当日のルートはこうだ。

 

『阪神姫島駅発→阪神梅田駅到着→徒歩→阪急梅田駅到着→阪急嵐山駅→竹林観光→ランチ→お土産購入→阪急嵐山駅→阪急梅田駅→徒歩→阪神梅田駅→姫島駅到着』

 

 

このルートを、

首から下げた紙に「○○まで一緒に行きませんか?(しませんか?)」と書いておく。

 

海外の方もいらっしゃるかも、と、英語訳も書いた。

 

車椅子の操作が初めての方にわかるように、ブレーキ操作方法も明記。

 

夜になるかもしれないので、暗くなったら自動で点くライトも胸元に装着。

 

多分これで行けるはず(笑)

 

 

 

 

 

 

11月7日火曜日、当日。

「あー、楽しみやー」という彼は能天気なのか、なんなのか。

心配のあまり怪訝な顔をする祖父母を横に、満面の笑みだ。

 

 

 

私の仕事の都合で、前日祖父母宅に宿泊、出発した彼は

祖父母宅最寄り駅「阪神本線 姫島駅」から出発。

 

 

駅で同行してくださる水口さんと9:30合流。

そして彼と別れた。

 

 

自宅で在宅ワークだった私は、ただ待つのみ。

水口さんから初めて連絡が入ったのは彼と別れた1時間30分後の11時43分。

 

「梅田まで来ています!」

というメッセージと、女性に車椅子を押してもらっている彼の写真だった。

次の写真は、阪急電車に乗る彼の写真と

「ずっとニヤついています。」というコメント。

 

 

次の写真は13:13.

嵐山駅に着き、一人の女性と進む彼だ。

旅の順調さにちょっと驚いた。

 

竹林に向かっているらしい。

彼の表情は少し緊張の面持ちなことを思うと、

女性の顔は見えなかったが、おそらく美人なんだろうと推測する。

 

 

13:35

畠山さんやばいです」という水口さんのメッセージにぎょっとしたのもつかの間。

 

 

「いい意味です」

という言葉と、3人の方に車椅子を押していただいている写真が送られてきた。

世の中、なんだかいい感じに回っているんだなあ…

 

 

 

なんて気を抜きかけたその時、それはやってきた。

そう、誰も声をかけてくれない長い長い時間が。


「僕とお昼ご飯を食べませんか?」

 

 

彼が胸元に掲げている言葉は、14:00を迎えた嵐山の雑踏にぽつんとあった。

 

幾人もの人が彼の前を通り過ぎてゆく。

 

15:00

彼は変わらずそこにいた。

 

 

16:00

「僕とお昼ご飯を食べませんか?」

 

その言葉は彼と共に、町へかき消されように見えた。

 

 

16:20

 

待つってこんなに長いんだ。

 

今日はもう帰ってこられないかもしれない。

 

彼を思ったとき、喉元に苦い物がこみあげてくる。

何を思っているんだろう。

どう感じているんだろう。

 

でも、信じるって決めたんだ。

 

私はここでもう待つしかない。

 

覚悟したその時、水口さんからメッセージが届く。

 

「知らない人同士がこうして助け合ってくれています。さあ、ついに次のミッションです!

 

きたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

女性5人が胸元の紙をめくり、話している。

「ランチはもう食べてんけど、ソフトクリーム食べる?」

「お土産買いに行こ!」

 

脱げた彼の靴も、みんなであーだこーだと履かせてくれている。

 

私は心からほっとしたのだった。


18:22

帰りは、最後に出会った女性お二人と、最終ゴールの姫島駅まで帰ってきた。

女性は路線も違うのに、だ。

 

彼の顔は、本当にいい顔をしていた。

送ってきてくださった女性のお一人は泣いていた。

 

私はそんな女性や、彼の笑顔を見た時、この旅を経て彼だけではなく、

多くの人の心が動いたのかもしれないと感じた。

 

お手伝いしてくださった方はもちろんだが、実際に行動には移せなかったけれど、何か感じたり、考えたりするきっかけになった。

そんな方もいたかもしれない。

 

彼にしかできない事。

それは「一人で京都行きたいねん!」からはじまった冒険だった。

 

 

出来ない事なんてどうでもいい。「何がしたいか」が大事やろ。

 

私と彼の合言葉。

こんなんしたら迷惑かな、はついつい先に頭に浮かぶ。

 

だけど、迷惑かどうかは、相手に決めてもらってもいいんじゃないか、とも思う。

 

迷惑をかけるからやめる。よりも、

やると決めてから、じゃあどうしたら『迷惑』だとかを回避できるのか。

 

そんな順番で考えるのも悪くはない。

 

『子どもを守る』って何かが起きないように身体を守る事でも、

「そっちじゃなくてこっちがいいよ」と道を用意しておくことじゃない。

 

『子どもを守る』ってことは、子どもの気持ちを守る事だと私は思う。

 

勇気を出したり、チャレンジしたり、一歩前に踏み出そうとするその心を。

 

踏み出した結果、折れそうになったり、自分をほめたいと思っているその心を。

 

そんな子ども達の心を守る。それが私流の『守る』だ。

 

 

 

 

みんなと一緒に写真を撮る彼の横顔は、自分をちゃんと生きてゆこうとしているように見えた。

 

 

 

親なんて結局、

「信じる事」→「待つ事」しかできないのかもしれない。

 

 

 

 

それにしても、信じるって疲れるなあ・・・

 

そんなことをしみじみおもった、長い長い秋の日。

見上げた空は、とても綺麗な月が輝いていた。

 

 

 

 


講演会のお知らせ

【君の未来はその手の中に】講演会

■12月4日月曜日 11:00~

■場所 フレンチレストラン『ルクロ・ド・マリアージュ』(大阪天満橋駅徒歩5分)

■参加費 10,000円(ランチ付き)

■定員数 60名

■お申込み・お問い合わせ→下記チラシに記載

 

前回の4月の講演会から多くのアンコールのお声を頂いてきました。

そんなお声にお応えさせていただきたい!

『キミノテ』プロジェクトメンバー(障がい児福祉に命を燃やすルクログループオーナー兼フレンチシェフ 黒岩功氏・混合保育の愛の異端児 瀧幸子氏・思いを繋げるプロフェッショナル 内田明子氏)と何度もミーティングを重ねながら、

この度満を持して12月4日第二回【君の未来はその手の中に】講演会をお届けさせていただきます!

 

 

障がいを持った子どもたちと関わる全ての皆様はもちろん、今何らかの迷いの中にいらっしゃる方、何か始めたいけど踏ん切りがつかない方、子育てやご家庭内でお悩みを抱えられていらっしゃる方、社内でのご自身の役割を見つけたい方。

 

ピンときた!そんな皆様へお届けしたい講演会です(^^)

 

 

療育に携わる者として。障がい児と共に生きる母として。

そして一人の人として、今回の#リョータビにおいての母としての気付き等

様々な角度から『子どもたちの未来』と『可能性』について

『知る』そして『気付く』をキーワードに、心を込めてお話させていただきます!

 

皆様お誘いあわせの上、ぜひお越しくださいね(^^)

 



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脳性麻痺オシャンティー男子との暮らしで思うコト/必殺ピンポン

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

 

高校生活の目的は

「勉強はしねえ。おら友達を作りに行くんだ」

 

なんて豪語しておきながら、クラスメイトと仲良くはしているものの

いまだに深い友達は一人もいない。

 

『勉強はしない』『友達は出来ない』ときたら、

 

 

 

お前さんは何しに学校行ってるんだ!

交通費返せ!

ママの時間を返せ!

 

 

 

とまあ、私にもどやされる訳である。

 

 

しかし彼が友達が出来にくいの今更ながら何故なのか、もう一度考えてみた。

 

友達ができるきっかけは、質問ではないのか?

 

「ねえ、ちょっといいかな?次の体育って体育館だっけ?」

「あ!そのバック素敵!どこで買ったの?」

 

そうだ。

 

彼は話しかけられたことに関しては、彼なりに答えようとするのだが

『話しかける』というコトに関してはまるで初心者ではあるまいか?

 

発語が明瞭ではなく、更に筋緊張が強く、言葉の引き出しも少ない彼にとって

会話は決して安易ではない。

 

だからこそコミュニケーションにスイッチや、視線入力やなにやら試してきたのだが、

いや待てと。

 

まずは『話しかける』というハードル、忘れてるやんか!

と。

 

よしきた。

ここクリアしていこ!

 

 

 

 

…となればなんだ。

 

意中の人に話しかけたい。質問したいとなればどうする?

 

→人を呼ぶ

 

そうだ。

だれか人を呼んで自分が話したい事があるんだということに気が付いてもらわないといけない。

 

どうやって呼ぶ?

 

「おーい、だれかー」って呼ぶ?

 

無理だ、ちょっと悲しすぎる。

 

そこで閃いたのがこれだ。

 

 

Amazonさんで894円の早押しアンサー。

 

押せば空気を引き裂く『ぴんぽーん!』の音と同時に〇が勢いよく『ぱかっ!』と立ち上がる。

 

これならみんな気が付くはずだ。

この強制感は無視する事のほうがある意味、強い意志を必要とする。

必ずや誰かを彼のもとに誘うはずである。

 

 

 

 

 

うしし


早速購入。

翌日には到着。

 

親子2人ご機嫌で早押しアンサーを学校へ持ち込んだ。

 

 

「これ、使ってください!」

 

担任の先生、そして副担の先生の手元に早押しアンサーを手渡す。

 

「これは…」

 

と、戸惑いながらしばらく眺めた後、徐に赤いボタンを先生が押すと

 

 

 

『ぴんぽーん!』

 

 

朝賑わう教室をチープなピンポン音が切り裂いた。

 

 

・・・

 

 

 

教室はまるで俗にいう『幽霊が通った』やつになった。

 

 

 

「・・とですね、この様に友達に気が付いてもらえると言うわけなんです。」

 

いかにも「そうだ」という顔でピンポン効果について説明する。

 

 

「なるほど。よくわかりました。一度色々と試してみましょう」

 

 

 

 

先生の真剣なまなざしに深く頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


聞けばその後、クラスメイトと早押しアンサーの固定位置や対処法について話し合ってくださったという。

 

今はテスト期間。

テストが終わればすぐに運動会だ。

 

その後、さてこの早押しアンサーが彼と、彼を取り巻く環境にどんな変化を起こすのか、それとも起こさないのか。

楽しみにしている。


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脳性麻痺オシャンティー男子との暮らしで思うコト/キャップより頬かむり

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

どうも近頃チョイスが見た目より機能性重視だ。

 

  • デニムよりスエット
  • ボタンシャツよりTシャツ。
  • キャップより頬かむり

 

あかん。

 

それじゃあ、あかんと。

 

 

恋やな。

恋してないな。

 

 

めくるめく17歳ではないか。

 

私が17歳、18歳ごろなんてまだまだバブルの余韻も残る時代。

 

ルーズソックスにエルロデオ。

ひざ上15センチでひらめく制服スカート。

彼氏選びは、車をもっているかどうか、

何の車に乗っているとかなんとか。

 

イケてる女子たちと過ごす放課後。

そんな女子とプリクラ撮って、プリクラ帳に集めることがステータス。

 

そんな時代ではなかったではないか?

 

なのに

 

ーキャップはずれるから頬かむりがいい

 

 

 

 

 

あかん!

あかんよ!

 

 

とりあえず、髪型はアンシンメトリー。

本人も気に入った。

 

よし、クリア。

 

私のサングラスはどう?

 

とかけると・・

めっちゃ似合うやん!

 

 

「清水翔太みたいやん!もう、買ったばっかりやけど君にあげるわな!」

 

テンションアゲアゲの母に向かって一言彼は、こう言った。

 

 

 

ーいらんわ。ずれるし。

 

 

少年よ、大志を抱け。

 

夕方のひんやりした風が、親子の間をすり抜けていったのだった。

 

 

 

 似合うって~(まだいう(笑)

 


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脳性麻痺オシャンティー男子との暮らしで思うコト/怖かってん

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

高校3年生になってから、なにかが違う。

 

 

思い返せばそれはきっとこの日から始まった、のかもしれない

 

 

・・・

 

新学期早々のある日の放課後。

他のクラスの車椅子ユーザーでもあるK君に、彼は呼び止められた。

 

「今日今から、バリアフリー展あるんだけど、一緒に行かない?

○○君も行くよ。」

 

○○君というのは、去年同じクラスだった子で、今時珍しく世話焼きの眼鏡くんだ。

今年はクラスをはなれ、K君と同じクラスになったようだ。

 

 

ー…やめとく

 

 

と、彼。

 

 

だろうな、と私は心の中でつぶやいた。

 

「そう?また行こうね」とKくんは去っていった。

 

 

この日は久しぶりの6時間授業で、彼は疲れ果てていた。

バリアフリー展も過去何度か行ったこともあるが、いつも「つまらない」と言っていた。

 

 

だからおおよそ「いかない」というだろうとは分かっていたし、それで良いと思っていた。

 

 

しかし、なんだK君、かっこいいじゃないか。

 

私達親子の間にわずかな沈黙と、微妙な空気が流れる。

 

「なにあれ、K君。自分から誘えるってさ、かっこいいなあ。」

 

ーはい

 

「自分が○○くんと行きたいって思ったら誘うってさ、なんかシンプル。スマートだよね。」

 

ーはい

 

「考えたらさ、遠慮せずにさ、相手の都合考えないでさ、もう最後じゃない?どんどん誘ってみてもいいんじゃない?」

 

ーはい

 


そして翌週、思い切ってクラスメイトを野球観戦に誘ってみた。

 

ヘルパーさんと、おじいちゃんと行く予定をしていた彼が大ファンの阪神戦甲子園デイゲーム。

おじいちゃんに「友達を誘いたい」と伝えると、快くOKしてくれたのだ。

 

 

結果クラスメイトは…

「ほんまですか?もちろん行きます!」

 

笑顔で返事が返ってきた。

 

 

・・・

 

怖かったのだ。

 

誘っても断られるんじゃないか、いやな顔をされるんじゃないか。

 

私たちはきっと傷つかないために、行動しなかっただけだということに気が付いた。

 

 

思い込みのグルグル巻き


当日は快晴。

 

試合は広島戦、阪神が勝った。

 

夜、クラスメイトから私のLINEにメッセージが届いた。

 

「今日はとても楽しかったです。お誘いありがとうございました。また誘ってください。」

 

彼と一緒に3回メッセージを読んだ。

熱狂的阪神ファンのヘルパーさんと


そして来月6月。

今度はクラスメイトと、もう一人の元クラスメイトを誘ってカラオケに行く約束を取り付けた。

 

「亮夏のお母さんもぜひご一緒に!」

 

友達だけで行ってくれたら…とも思ったのだが、確かにいきなり子どもだけでとなれば

友人にとってもハードルが高いか。

 

と思い直し、私も同席することになった。

 

「得意な曲は?」

彼らに尋ねてみた。

 

一人は

『アニソンっす!』

一人は

『ヘビーメタルっす!』

 

彼は

『えいっこうーのかけはしっ!』→それ曲名な

 

なにやらカラフルな予感しかしない。

 

せっかくなので私も全力で、濃~い色を添えてみようとするか。

 

 

・・・

 

この後、友人とのコミュニケーションにおいて学校にnewアイテムを持ち込んだのだが…

 

 

それはまた次回のお話。

 

 

 

 

 

 


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成功者だからじゃなくて

 

今年の6月で、【GOKAN療育プログラム】は4年目を迎える事となりました。

 

「療育」という言葉も、スタート当初から比べれば、

保護者や支援施設にも広がり、

 

皆様にとって

より身近なものとなった事を、嬉しく感じておりました。

 

 

 

そんな中、ある保護者から先日、こんなメッセージを頂きました。

 

『いつもブログや療育の記事、楽しく拝見しております。

 

私の娘も畠山先生の息子さんと同じ、脳性麻痺で今年4歳になります。

 

先生の障害を持った子どもたちに対する素晴らしい働きかけを知り、

今私が娘にできる事があるということに驚きと喜び、

そして今まで受けてきた療育に対する戸惑いも感じています。

 

先生が息子さんに行ってこられた働きかけをもっと知りたいです。

 

きっと素晴らしい息子さんなんでしょうね!』

 

このメッセージに、私はこう返信させていただきました。

 

「とんでもございません。

この療育プログラムは、半分は私自身の後悔から生まれたようなものです。」

と。

 


■成功してきたからじゃない。

 

スタートして丸3年。

【GOKAN療育プログラム】が生まれたきっかけは、

 

今年18歳になる脳性麻痺の息子との日々の暮らしの中で気が付いた、

 

私たち親子が共に18年生きて、見て、感じ、痛感した、

 

障がい児と保護者それぞれが自分らしく生きていくために

「是非知っておいて欲しい事」を、

 

悩み、迷い、苦しんでいるお子様やお母さまへ

 

私達親子、約18年の『経験や体験』

あちこち足を運んで学んだノウハウ。

12年乳幼児能力開発事業で培った知識や技術をお伝えすることで

少しでも皆様の毎日の笑顔に役立つことが出来れば・・・

 

そうして

『五感を通じてのリアルな体験』を体感できる

オリジナル療育ワーク【ベビママケアプログラム】(現在のGOKAN療育プログラム)を立ち上げたのが始まりでした。

 

 

そう。

このプログラムは「成功例」だけを集めたものではないのです。


■あんな事も、こんな事もしてあげれば良かった。

息子との生活も10年目を迎えた8年前の5月。

 

新しい家族が一人増えました。

 

今も私達家族にとって太陽のような存在、長女の誕生です。

 

私は彼女の成長を通じて、ただただ衝撃を受けるばかりでした。

 

『え?1歳ってこんな事するの?』

『うそ!2歳ってそんなことまで考えてるの?』

『わお!3歳ってそんな疑問に感じてるの?』

 

自ら発信ができなかった長男と、発信ができた長女。

 

 

彼は言葉を上手くコントロールできなかっただけで

本当はあんな事も、こんな事も感じていたに違いない。

 

聞きたい事も、知りたい事ももっとあったはずなのに、

私はそれに気が付かずに、今の今まできてしまった。

 

 

私は

なんて申し訳ないことをしてしまったのだろう・・・

 

 

長女の誕生をきっかけに、今まで全く気が付かなかった

障がいを持つ息子が不足してきたもの全てを、私は初めて知ることになりました。

 

 

 

長女の成長を見守る日々。

そのころから私の心の中に、

こんなキーワードが浮かんでは消えていくようになりました。

 

 

『もっと色んな事を体験させてあげたら良かった。』

 

それは彼に対する【後悔】そのものだったのです。

 


【GOKAN療育プログラム】は、よくある成功体験やhow-to本ではありません。

 

『これさえやっておけば東大に入れる。』みたいなものでもありません。

 

 

【GOKAN療育プログラム】は

私達が経験・体験して成功したことだけでなく、

 

息子に「本当は経験させてあげたかった」

そんな後悔から生まれた事柄や

 

お母さまや施設スタッフの皆さんに

「是非、今知っておいて欲しい(知識・ノウハウ・心・コミュニケーション等)」事柄、

 

療育の観点からお伝えできる「将来役に立つ働きかけ」などを集約させたものを、

 

毎月の療育ワークや

スタッフ研修に盛り込み、皆様にお渡しさせて頂いています。

 

 

成功したからお届けしたい情報ももちろん沢山あります。

 

ですが、同時に

  • 「あの時もっとこうしてあげれば良かった」
  • 「こんなこともさせてあげたかった」
  • 「こんな風に話してあげられたら良かった」

そんなエッセンスも盛りだくさん組み込ませて頂いています。

 

今を振り返ったときに後悔をするのではなく、

  • 「色々な経験をさせてあげてきた!」
  • 「充実した日々を子どもと過ごせた!」

一人でも多くの保護者や施設スタッフの皆様へ、私たちの経験や学びをお伝えすることで

障がいをもつお子さま、お母さまにも

自分らしい、活き活きとした人生』を選択してゆける。

 

そんなきっかけとして、

この【GOKAN療育プログラム】を役立てていただくことができれば嬉しいなと思っています。

 

 

お子さまや保護者の皆様、現場スタッフのみなさまの笑顔を見るたび

私はそんな気持ちでどうしても嬉しくなるのです。

 

 

 


■LINE@始めました。

 

 

皆様とより近い距離からコミュニケーションを行わせていただく為

今回LINE@を始めました♪

 

お問い合わせフォームでは質問しにくかった事柄や、ご要望などお気軽に直接やり取りさせていただけます。

どんどんメッセージお待ちしております(^^)

 

是非LINE@もご登録頂きましてご活用ください!

 

まだまだ勉強中の私と息子ではありますが、経験者として、また療育に携わる者として

お役立ていただけそうな情報をこれからも発信してまいります。

 

引き続きご覧頂けましたら幸いです。

 

👇LINE@の登録はこちらか、ID検索 @iyr7359ⅿ からお願い致します。

 

 


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「何も力になんてなれません。」

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子17歳。

今日彼は、人生の先輩に出会った。

 

場所は兵庫県西宮市にあるメインストリーム協会。

『どんなに重い障害を持つ人も生き生きと誇りをもって、「社会に主流」メインストリームを堂々と生きていける社会にすること』を目指す、自立生活センターがある。

 

数年前に何度か足を運び、将来について思い悩んだ時、親子で相談に訪れていた。

 

今日は来年高校卒業を控えた彼のその後のビジョンや、居場所(仲間作り)について意見を伺いたく

数年ぶりに足を運んだのである。

 

 

障害者スタッフ、健常者スタッフが入り混じるメインストリーム協会。

 

いつも対応していただく障害者スタッフのKさん。

今回はじめましての同じく障害者スタッフのOさん、Kさん。

 

こちらは彼、春休み中の彼の妹、彼の地域担当社会福祉士Mさん、そして私。

 

和やかな雰囲気で始まった時間は、途中一変する。

 

 

 


「お母さんにばかり話すよね。」

挨拶もそこそこに、

卒業後のビジョン⇒「ユーチューバーになる」「居場所や仲間が欲しい」

を彼に代わって話す。

 

『細かいことは何も決まっていないが、

まずは自分探しも兼ねてユーチューバーとしてパートナーを見つけて色々やっていき、

可能であれば収入を得る事が出来れば最高。

その中で自分らしい生き方を見つけていきたい。

ただ仲間や居場所も欲しい。何か良いアドバイスがあれば頂きたい。』

 

大まかに話すとこんな感じだ。

 

 

「なるほど。」

頷くスタッフの皆さん。

 

会話の中でスタッフの皆さんが彼に尋ねる。

「友達はいるの?」

「休みの日は何をしているの?」

「何をしている時が楽しいの?」

「好きな野球チームはどこ?」

 

そのたび私の顔を見て、私にこたえる彼。

普段の彼の言動を付けたし、通訳する私。

 

ずっと黙ってやり取りを見ていたOさんが口をひらいた。

 

「さっきから見てて思うんだけど、君、お母さんにばかり話すよね。

 

君、友達いないでしょ?

友達作りに高校変えたんでしょう?

なのに何しに学校行ってるの?

 

友達に話しかけられても、答えるのに時間がかかって返事が間に合わない。

だから話しかけるの諦めてしまうとかさ、だったら違う方法でアプローチできるでしょ。

 

 

 

 

甘えてばかりじゃなく、もっと自分からいかないと。

 

出かけたら疲れるから家がいい?

 

そんなこと言ってるから広がらないんじゃないの?

 

コミュニケーションも、家族だけじゃなくて、ヘルパーさんとどんどん出かけて

伝えたい事伝えていって、それも練習でしょ?

 

パラグライダーしたり、いろいろチャレンジするのも悪くないけど

もっと身近なところから動いたほうがいいんじゃないの。

 

厳しいことを言うようですが

今の状態じゃ、何も手伝えることはありません。

 

何も見えてこない。

君にはまだ出来ていないことが沢山ある。」

 

真っ直ぐな言葉が私たち親子を突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

嬉しかった。

 

そんな風に話してくれる人がいる事が。

 

 

だって普段

私が彼に伝いていた事、気が付いてほしかった事、そのままだったから。

 

 

 

 

だけどもしかして泣くんじゃないかと思って彼の顔を見たら、

真っ直ぐな眼差しでOさんを見つめていた。

 

 

彼は

泣きもせず、怒りもせず、笑いもせず、ただじっと聞き入っていた。

Oさんの言葉を一言も聞き漏らすまい。としているように私には見えた。

 

 

「伝わった」

そう思った。

 

 

 

 

 


「また会いに行く」

「よかったら次はお母さんとではなく、ヘルパーさんと来て下さい。また話そう。」

 

「お母さんとだったら、話したいことも話しにくいかもしれないし、」とOさん。

 

『はい。』

 

お決まりの息と一緒に吐き出すような彼の返事に

 

「いい返事できるじゃない。」

 

そう言われ、やっとニヤリと笑った彼。

 

誰から聞くか。

同じことを聞いたとしても、誰から聞くかによって届き方が変わってくる。

 

私じゃない。

私じゃ届かない。

 

でもそれは嬉しいことだ。

 

私が伝えたかったことを、私以外の人が、彼に届く言葉に乗せて伝えてくれることが

めちゃくちゃ嬉しかった。

 

 

 

また一つ、内から外へ。

 

「今月中、Oさんにまた会いに行って来る。」

 

真っ直ぐ前を見て話す彼。

 

 

 

掴みに行け。

ここからは君自身で掴みに行くんだ。

 

君の目で、君の心で、君が必要だと感じた物を

君が選択して、掴むんだ。

 

 

 

「この人って思った人の縁は、離しなや。」

 

帰りの車中、

見守る苦しさを感じながら言葉を絞り出した。

 

 

また一つ、握りしめてくしゃくしゃになっていた母としての役割を

そっと彼の手に託した、春の昼下がり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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彼女が大切にしているもの。

我が家の脳性麻痺オシャンティー男子には、歳の10歳離れた妹がいる。

 

我が家のアイドルだ。

 

なぜ10歳離れたのか。

よく聞かれるのだが、理由はいくつかある。

 

初めは『彼一人に愛情を注いであげよう。』

 

そう思っていた。

 

だけど単純に、兄弟がいたらどんなんかな?

 

彼にとってどうなんだろう?

本当に一人に愛情?それがいいのか?

 

夫や、じいじやばあばにとってはどうなんだろう?

 

そんな気持ちと。

 

そして私の

『子どもと手を繋いで、一度でいいから歩いてみたいなー』

(車椅子だと中心の子どもが両手で引っ張られてる感じになるのね(笑))

 

そんな気持ちと。

 

『だけどもしかしたら、二人目も障害をもって生まれてくるかもしれないな。』

 

そう考えた時

『10歳離れたら、まぁ、二人目も障害があっても何とかなるかね。

だったらじいじやばあばが元気で、まだ当てにできる今でしょ!』

 

となったわけだ。

 

10年越しに生まれた彼女は、計画的帝王切開で出産。

 

泣きながら、両手の親指を口に突っ込んだ『W指しゃぶり状態』で生まれてきた彼女を見て

彼女の生命力を確信した、あの日から7年。

 

彼女は今日もよく食べ、よく笑い、よく眠る。

 

 

そんな彼女が先日私にこう尋ねてきた。

 

『ねえ、ママの大事なものって、やっぱりつーちゃん?(彼女のニックネーム)』

 

ちょうど朝家を出る、一日の中で最も忙しいタイミング。

 

「ああ、そうやで」

 

私は半ば投げやりに、そう答えた。

 

しかしその後、思い直し、こう聞き返した。

 

「つーちゃんは?つーちゃんは何が大事なん?」

 

すると彼女はこう答えた。

 

「りょうか兄にと、それから、自分の気持ち。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

障害を持つ彼にとって、私たちがいなくなった後、兄妹がいるということはきっと心強いはずだ。

私たち両親に何かあった時は助け合って生きてくれたら、と思う。

 

でもそれ以上に、彼や彼女にはそれぞれの人生を生きてほしい。

 

そうずっと思っていた。

 

無意識に犠牲になったり、お互いがいる事で何かを諦めたり、我慢したりしてほしくない。

なぜならそれは、お互いにとって不幸だからだ。

 

誰もそれを望んではいない。

 

 

いつも二人に伝えてきた。

「君達が世界で一番大切だ。

 

君たちは君たちにしかできないことがある。

だから、自分の気持ちに嘘をついてはいけないよ。

そんなことをしてしまうと、君たちは君達でなくなってしまうのだから。

 

君たちが、君達でいてくれることが、ママは何よりも嬉しいのだから。」

 

 

 

「りょうか兄にと、自分の気持ち」

その言葉に、思わず彼女を抱きしめた。

 

 

私の腕の中で

くふふ!

 

小さく笑う彼女は、とても暖かくて、食パンの匂いがした。